あし(下肢)の痛み・しびれ

あし(下肢)の痛み・しびれについて

あし(下肢)の痛み・しびれは、原因や進行段階によって症状や適切な治療が異なります。放置すると、歩行障害や筋力低下、感覚鈍麻が長引くことがあるため、早めの受診をおすすめします。

当院では診察と画像検査で原因を見極め、物理療法や運動療法、薬物療法を適切に組み合わせて、痛みの軽減と機能回復を目指します。

代表的な疾患

  • 坐骨神経痛
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 閉塞性動脈硬化症(ASO: arteriosclerosis obliterans)
  • 変形性膝関節症
  • 変形性股関節症
  • 足根管症候群
  • 足関節捻挫
  • 外反母趾
  • 扁平足障害
  • 腓骨筋腱鞘炎
  • アキレス腱炎
  • 足底筋膜炎
  • モートン病
  • 足関節不安定症
  • 骨端症

坐骨神経痛

坐骨神経痛は、腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足先にかけて伸びる坐骨神経が圧迫または刺激されることで生じる痛みやしびれの症状の総称です。坐骨神経痛そのものは疾患名ではなく、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの基礎疾患が原因となることが多いです。神経が圧迫される場所や程度によって、痛みやしびれの範囲や強さが異なります。長時間の座位や重いものを持つ動作が症状を悪化させることがあります。

主な症状

  • お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけての痛みやしびれ
  • 痛みは片側に現れることが多い
  • 長時間座る、立つ、歩くと痛みが悪化する
  • 重症例では、足の筋力低下や歩行困難が見られることも

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は、腰椎の脊柱管(脊髄や神経が通るトンネル状の構造)が狭くなり、神経が圧迫される疾患です。加齢に伴う骨や靭帯の変性、椎間板の膨隆が主な原因で、50歳以上の高齢者に多く見られます。神経が圧迫されることで下肢に痛みやしびれが生じ、歩行が困難になることがあります。特に「間欠性跛行」が特徴的で、歩行中に痛みが強まり、休憩すると症状が改善するという経過をたどります。

主な症状

  • 腰からお尻、太もも、ふくらはぎにかけての痛みやしびれ
  • 間欠性跛行(歩行中に足の痛みやしびれが強くなり、休むと改善する)
  • 長時間の立位や歩行で症状が悪化する
  • 重症例では、足の筋力低下や排尿障害が見られることも

腰椎椎間板ヘルニア

腰痛の項で詳細は記載していますが、当初は腰痛であってもヘルニアによる神経圧迫があれば下肢の痛み、しびれにつながります。X線だけでは診断に至ることが少なく、MRIでの精査が必要となることもしばしばあります。

閉塞性動脈硬化症(ASO: arteriosclerosis obliterans)

閉塞性動脈硬化症は、下肢の動脈が動脈硬化によって狭窄または閉塞し、血流が低下する疾患です。糖尿病、高血圧、喫煙、脂質異常症などがリスク因子で、中高年の男性に多く見られます。血流不足により、下肢に痛みやしびれが生じるだけでなく、皮膚の変色や潰瘍、さらには壊死が進行することもあります。放置すると歩行困難や最悪の場合、下肢切断が必要になることもあるため、早期治療が重要です。

主な症状

  • 歩行時にふくらはぎや太ももに痛みやしびれが生じる(間欠性跛行)
  • 安静時にも足の痛みを感じる(進行した場合)
  • 足の冷感や皮膚の色調変化(蒼白、紫色)
  • 重症例では、足の潰瘍や壊死が見られる

変形性膝関節症

膝の痛みの項に詳細は記載していますが、先述のような神経症状に合併していることもしばしばあります。症状が神経由来のものがメインか、関節由来のものがメインかをきちんと区別しながら治療に当たらないと痛みが長引いてしまうこともあります。

変形性股関節症

変形性膝関節症と同様に、股関節が悪いにもかかわらず大腿部痛により、神経由来の痛みと混同してしまうことがあります。適切な診断の上で、きちんとした治療法を行っていきます。

足根管症候群

足根管症候群は、足首の内側にある「足根管」というトンネル状の構造で、後脛骨神経が圧迫されることで生じる疾患です。足根管は足首の内側を通る神経や血管が集まる重要な構造で、外傷や腫瘤、靴の圧迫、足首の酷使などが原因となることが多いです。神経の圧迫により、足や足指に痛みやしびれが現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。

主な症状

  • 足首の内側から足裏、足指にかけての痛みやしびれ
  • 症状が夜間に悪化することがある
  • 足裏の感覚異常や筋力低下(重症例)
  • 長時間の歩行や立位で痛みが悪化

足関節捻挫

足首をひねって靭帯(じんたい)を傷めるケガのことをいいます。多くの場合は、足首を内側にひねる(内反)ことで、外くるぶしの周りにある靭帯が伸びたり切れたりしてしまいます。よく起こる靱帯損傷としては、前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)、踵腓靱帯(しょうひじんたい)、後距腓靱帯(こうきょひじんたい)になります。

外反母趾

外反母趾とは、足の親指(母趾)が外側(小指側)に曲がって、付け根の関節が内側に出っ張ってしまう変形のことです。
この変形により、足の内側の骨(中足骨)が広がり、靴に当たって痛みが出ることが多くなります。

主な症状

  • 歩くときや立っているときの親指の付け根の痛み
  • 靴が当たって痛い
  • 長時間歩くと足全体が疲れやすい
  • 靴選びが難しい
  • 変形が進むと、第2趾・第3趾も痛くなる

扁平足障害

足には3つのアーチ(縦アーチ・横アーチ)があり、これらが地面からの衝撃を吸収したり、体のバランスを取ったりする重要な働きをしています。扁平足ではこのアーチが崩れているため、衝撃をうまく吸収できず、関節や筋肉に負担がかかりやすくなります。この状態が原因で足・膝・腰などに痛みや疲労感が生じる場合、「扁平足障害」と呼ばれます。

主な症状

小児の扁平足は成長に伴い改善することが多い。痛みがなければ基本的に心配なし。
成人の扁平足は加齢や使いすぎ、腱の障害(後脛骨筋機能不全)により痛みを伴うことがある。

  • 足の内側(土踏まず)の痛み
  • かかとや足裏が疲れやすい
  • 長時間の歩行や運動で足・ふくらはぎがだるくなる
  • 足首の内側の腫れや痛み
  • 進行すると、膝・股関節・腰にも痛みが出ることも
  • 靴底の内側が早くすり減るなどの変化

腓骨筋腱鞘炎

「腓骨筋(ひこつきん)」は、ふくらはぎの外側にある筋肉で、足首の外側の安定性を保ち、足を外側に動かす(外反・外転)動きに関わっています。
腓骨筋には2本あります。

  • 長腓骨筋(ちょうひこつきん)
  • 短腓骨筋(たんひこつきん)

この筋肉の腱は、足首の外くるぶし(外果)の後ろを通り、靱帯とともに腱鞘(けんしょう:腱を包むトンネル状の組織)に収まっています。
腓骨筋腱鞘炎とは、この腓骨筋腱と腱鞘の間で炎症が起き、痛みや腫れを伴う状態のことです。

主な症状

  • 外くるぶしの後ろや下の痛み
  • 腫れや圧痛(押すと痛い)
  • 足を外側に動かすと痛みや引っかかり感
  • 歩行やランニング時に違和感・不安定感
  • 痛みで長時間の運動が困難になる

アキレス腱炎

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)とかかとの骨(踵骨)をつなぐ人体で最も太くて強い腱です。
この腱に繰り返し負担がかかることで炎症を起こし、痛みや腫れなどの症状が出る状態を「アキレス腱炎」といいます。

主な症状

  • アキレス腱(くるぶしの少し上、かかととの間)が痛む・腫れる
  • 朝起きたときや歩き始めの一歩目が特に痛い
  • ふくらはぎの筋肉が張る、だるい
  • 運動後や階段の昇り降りで痛む
  • 腱を指で押すと圧痛(押したときの痛み)がある
  • 慢性化すると、腫れたまま硬くなる・腱が太くなる

足底筋膜炎

足の裏には「足底筋膜(そくていきんまく)」という、かかとの骨から足の指の付け根に向かって伸びる厚くて丈夫な膜状の組織があります。
この筋膜は、歩いたり走ったりするときに足のアーチ(土踏まず)を支え、衝撃を吸収する働きをしています。
「足底筋膜炎」は、この筋膜に小さな傷や炎症が起こることで、主にかかとの内側あたりに痛みが出る状態です。

主な症状

  • 朝起きて最初の一歩が特に痛い
  • 長時間歩いたり立ちっぱなしの後に痛みが強くなる
  • かかとの内側〜土踏まずあたりにピンポイントの痛み
  • 足を動かしているうちに少し楽になることもあるが、繰り返し再発しやすい

モートン病

モートン病とは、足の指のつけ根(足趾の中足骨の間)にある神経が圧迫され、痛みやしびれを引き起こす神経障害です。
特に第3・4趾(中指と薬指)の間に起こることが多いです。この場所では、神経が骨や靭帯、周囲の組織に挟まれやすく、長時間の歩行や狭い靴の使用で炎症や神経腫(しんけいしゅ:神経のこぶ)ができることがあります。

主な症状

  • 足の指(特に3・4趾の間)にビリッとくる痛みやしびれ
  • 歩いていると指の間に石が挟まったような感覚
  • 靴を脱ぐと痛みが軽くなることがある
  • 指の間を押すと鋭い痛みや「ピリッ」という感覚
  • 進行すると常にしびれ感が残ることも

足関節不安定症

足関節不安定症とは、足首の関節がぐらついたり、力が入らなかったりして、安定しない状態が続くことをいいます。多くの場合、足首の捻挫(ねんざ)を何度も繰り返した結果、関節を支える靱帯(特に前距腓靱帯など)が緩んだり損傷したりして起こります。

主な症状

  • 歩行中や運動中に足首が「ぐにゃっ」となる
  • 段差や坂道で足をひねりやすい
  • 足首に不安定感や力の入りにくさ
  • 運動後に足首の腫れや違和感
  • 捻挫を繰り返す(反復性足関節捻挫)

骨端症

骨端症とは、子どもの骨の成長部分(骨端線や骨核)に負担や血行障害が起こって、炎症や痛みが出る病気の総称です。
特にスポーツをしている小中学生に多く見られます。成長期の骨はまだ未完成で柔らかいため、繰り返しの衝撃や使いすぎ(オーバーユース)により骨端に障害が起きやすくなっています。

主な症状

  • 動かすと痛い・歩きづらい
  • スポーツや運動中に特定の部位が痛む
  • 押すと痛い(圧痛)
  • 腫れ・熱感・軽い炎症
  • 休むと症状が軽くなるが、再開で悪化することがある
一覧に戻る

アクセス・診療時間


所在地

〒580-0015
大阪府松原市新堂4丁目1186-1
松原新堂クリニックビル2F


電話番号

072-247-5650


診療時間
9:00 - 12:45
14:15 - 18:00

※休診日 / 木曜・土曜午後・日曜・祝日